「美姿勢」で同じ服がハッとするほど魅力的に(Walking And Fashion)


西ゆり子(以下、西):
渥美ひとみ先生は、バレエダンサーとして数々の舞台に立たれ、ミスサッポロとしても活躍、モデルウォーキングも学んだ経験から、現在は「美姿勢」をテーマに美しい立ち方・歩き方のレッスンを行なっておられます。71歳にしてこのスタイルと立ち居振る舞い、生徒たちみんな感激してましたね。

渥美ひとみ(以下、渥美):
皆さんがお気に入りの服で思い思いにランウェイを歩くレッスン、楽しかったですね。あえてぶっつけ本番だったので、ウォーキング自体はまだまだのびしろがあって、私としては腕が鳴る感じでした(笑)。

西:
私自身10年ほど前に先生にウォーキングを教わりました。すでに大人だし、バレリーナになろうというわけじゃないけど、日常の中で綺麗な動作を身につけて服もカッコよく見せたいと思って。それにはどこの筋肉をどう使うかを教えていただいて、今でもそれがすごくよかったな、と。

渥美:
同じお洋服を着ても、姿勢と歩き方しだいでさらにカッコよく見えたり、反対にもったいない……となってしまうことはあります。

西:
今回はまず立ち方からでしたね。


渥美:
はい。まず、美姿勢の観点ではつま先は平行ではなく90度くらい開いて立つのが基本です。ほら、赤ちゃんが生まれた時って脚はまっすぐ前向きじゃないでしょう。

西:
たしかに。開いてますよね。

渥美:
能や日舞、茶道のすり足の足運びは、やや内足ですが、本来ヒトの身体は内足ではないんですね。いっぽう武道一般は足の角度が90度なんです。

西:
そういえば太極拳も90度だったわ。

渥美:
それは骨盤のつくりと関係しているんです。人は内側にひねられることに弱くてねん挫しやすいけど、外向きの立ち方なら自然な角度だから怪我をしにくい。慣れないうちは本を床に置いて角を利用して確認するのもいいです。

西:
理にかなってるわけね。

渥美:
その時、お尻というか肛門を締めて、そこに手袋をしまうような気持ちで立ってみてください。その時も足が90度なら締めやすいし上げやすい。

西:
確かにこの立ち方は身体のまんなかを意識しやすいですよね。

渥美:
慣れるために、キッチンで料理中の時なんかにその姿勢でかかとの上げ下げをするのもおすすめです。垂れ下がったピーマン尻から、美しく引き締まったハート形のお尻に近づきます。立ち方だけで背中もヒップも印象が変わります。皆さんよく「腹筋ないんです」と言うんですが、腹筋がなくてもお尻をきちんと締めて、あばら骨もコルセットだと思って内側に引くだけで、ぐっと姿勢が良く見えます。日常的にガードルを穿くのはお勧めしません。せっかくの自分の筋肉を甘やかしがちになるから。同じ理由で、食べないダイエットをするくらいなら、筋肉で自分専用のコルセットを作るイメージで努力する方がいいです。ほら、生クリームとホイップクリームは同量でもボリュームが違うでしょ? ホイップクリームを元の生クリームに戻せたら、だいぶスリムですよね。

西:
それはすごくわかりやすい(笑)。

渥美:
そして、もっと大事なのは視線です。今日のランウェイ、緊張もあってか皆さん視線が床に向かってしまい、背中が少し丸まってせっかく素敵なお洋服を着ているのにもったいなかった。実は歩き姿で一番目立つのが背中です。日本人は小学校で「気をつけ!」を習いますね。あの姿勢が実は巻き肩を作ると言われてます。スーツもニットも肩で決まりますよね。肩が前に来ていたら、変なしわが出来てしまう。背中、つまり肩甲骨の線をきれいに見せることは美姿勢のカギなんですが、視線を上げることがすごく効果的なんです。舞台俳優は二階席あたりを見てお芝居しないと、目が閉じて見えるそうです。

西:
二階席ね……(実演中)

渥美:
そうです! 鼻先に意志を集めるような感じで。顎にこぶしを入れたくらいの角度が美しいです。おへそはまっすぐ前、天井向かないようにね。腕の位置も、きもち外に置くと、洋服がきれいに見える基本姿勢の出来上がりです。

西:
考えなくてもこれが出来るようになりたいですね。服や靴の種類で理想の歩き方が変わることもあるのかしら。

渥美:
ハイヒールの場合はつま先→かかと、つま先→かかと、のリズムで歩きます。でもイブニングドレスのように長いものの時は、前裾を少し蹴るようにすると綺麗に歩けます。スニーカーは、クッション性で足を蹴りやすくていいんですが、そのままだとつま先側が少し上がったような設計のものもあるので、私はスニーカーのかかと側に厚めのハーフインソールを入れるんです。すると、より土踏まずにフィットしますし、かかとが少し高くなることでお尻を使いやすくなる。50代以上になると、ハイヒールはさすがにキツイけど、このやり方だと微妙に長すぎるパンツ丈も解消できるし、歩くときにお尻を締めやすくもなるから、おすすめです。大人の裏技ですね。

西:
なるほど。今日のレッスン参加者の皆さんも、少し基礎を教えていただいただけで、立ち方、歩き方が全然違って見えて、すごいなと思いました。

渥美:
歩きながら自分の姿勢と身体を作っていくという考え方が広まればいいと思っています。年齢を重ねても、自分の身体を、無理をかけずにラクに大切に、最後まで使うことがいちばん大切だと思っているんです。そのための簡単で効果的なエクササイズもたくさんあります。

西:
今度ぜひ第二弾も企画しようかな(笑)。

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渥美 ひとみ / Hitomi ATSUMI

1953年旭川市生まれ。幼い頃からのバレエを学び、数々の舞台に立つ。学生時代はフィギュアスケートや社交ダンスに打ち込み、ミスサッポロとしても活躍。モデルのウォーキングも学ぶ。こうした経験から「人に見られる姿勢の大切さ」を痛感し、「美姿勢」をテーマに独自のレッスンを考案。年を重ねても美しくありたいと願う女性たちに、美しい立ち方歩き方のレッスンを行なっている。


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