芸能スタイリストは人を喜ばせたい、人を愛したい!(Entertainment Stylist And Fashion)


西 ゆり子(以下、西):
今月のゲストはスタイリストの津野真吾さんです。元芸能事務所のマネージャーという珍しい経歴をお持ちで、ドラマやバラエティなどの現場はもちろん、クリエーター系の専門学校の指導者としても活躍しておられます。YouTubeブログも見たけど、かなり踏み込んでるわよね。

津野真吾(以下、津野):
スタイリストアシスタントの一日とか、今までクローズドだった業界のリアルを発信してますが、今のところクレームはないです(笑)。動画で顔を出して喋っていることで、スタイリスト志望の子たちは僕の人柄や事務所の雰囲気がわかって安心するみたいで、けっこう研修に来てくれるようになりました。

西:
スタイリストの世界は確かにクローズドな感じで、普通横のつながりはないのに、30歳年下の津野さんとは不思議に長いご縁よね。

津野:
独立したばかりで、まだそれほどまとまった仕事がない時代、うちの向かい側に西さんの事務所があって、ある方に紹介されて以来、なぜか入り浸っていつもご飯を食べてました。

西:
その頃スタッフが多かったのもあって、社員食堂を作ってみたんだけど、すぐ誰も来なくなったの。なぜなら社食のおばさんが大ベテランで、ヒマだからついうちのスタッフにお説教しちゃうわけ。さっと食べて仕事に戻りたい子たちは敬遠して足が遠のいたんだけど、津野さんだけが律儀に雨の日も風の日もご飯食べに来てくれたのよ。

津野:
うちの社員じゃないの?なんて言われながら(笑)。それでだんだん仲良くなって西さんからテレビのお仕事を頂くようになりました。最初がいきなり『確証~警視庁捜査3課』の榮倉奈々さん、そして『ファースト・クラス』の平山浩行さんもやらせてもらいましたね。

西:
よく一緒に衣裳のリースに行ったわね。

津野:
で、ボロクソに言われるんです。「なんでそれ?! ほんとセンスないんだから」って。

西:
口が悪くてゴメンね!でも津野さんは「ハイっ!」ってちゃんと直してた。それはすごいことよね。戦友だよね。心意気が一緒だったんだと思う。何かにつけてこの人、心があるのよ。

津野:
当時教わったなかで今も生きてるコーディネートがありますよ。

西:
何だろう?

津野:
ピンクの透けたトップスの下に黒のスカートを合わせるとして、トップスのインナーの色は?という時に自分ならピンクのインナー入れて、黒でバキッとコントラストつけるところなんですが、西さんに「ダサッ!」って言われて「スカートと同色を入れなさい。そうするとなじむし統一感が出る」って言われて駆け出しの自分には刺さりました。今でも西さんは簡単に「イイね!」してくれない。

西:
SNSを全部チェックするんですよ。

津野:
投稿後10日くらいしたら、西さんの「イイね!」を探したりして。第二の師匠です!

西:
芸能人のスタイリングは大変そうと言われるけど、津野さんは長年やっていてどう?

津野:
そもそも自分がスタイリストを目指した理由は 「人」だったんです。元々大手事務所の女優さんの担当マネージャーだったんですが、その人が僕には言わないような恋愛事情や今の心境とかを、ヘアメイクさんやスタイリストさんには話してる。事務所の人間に忖度があるのは当然だけど、人の人生、それも影響力のある人の人生にもっと深く関わりたい、と思い切ってマネージャーを退職しました。その後20社スタイリスト事務所を受けたんですが、「やっぱり元マネージャーは使いづらい」と言われて全滅。で、ヘアメイクの中嶋竜司さんに「全部落ちました」と報告したら「落ちた事務所のリスト見せろ」と言われて。「この人たちは3年後にスタイリストやってない!」と宣言されました。確かにそれは正しかった。

西:
すごい話ね!

津野:
それでスタイリストの中川原寛さんを紹介していただいたんですが、「竜司の紹介だよな。お前入れるために一人辞めさせたからな」とひとこと。

西:
わっ!

津野:
もう頑張るしかない。担当女優さんからは花向けの言葉として「津野、私を担当できるくらいまでやんなきゃダメだよ」、つまり主役につくスタイリストにならなきゃ許さないからねってことです。

西:
いい意味ですごいプレッシャーあったね。

津野:
それでメンズファッションの世界で3年7ヶ月アシスタントを務めました。センスと人間関係って考えた時に、自分は西さんみたいな圧倒的なセンスというよりは人とのつながりの中で3回は試しに仕事をもらえるだろう、その3回の中で認めてもらえるように、というタイプだと思います。

西:

なるほどね。私は演者さんやマネージャーさんとご飯を食べに行ったりもなく、芸能人は芸能人、違う種族っていうスタンスでずっと生きてきたのね。それでいて、現場では言いたいことは言わずにいられないタイプなんだけど。

津野:
すごいのは、西さん反対意見を言いながらニコニコ笑ってる。それって有吉弘行さんと共通で、あの人、先輩にキツめのあだ名をつけたりするけど顔は笑ってる。すると「メラビアンの法則」でしたっけ。視覚情報のほうが勝つからみんな受け入れちゃう。

西:
確かに。バケ子さんのYouTubeのファッションチェックでも、私けっこうダメ出しとか辛辣なこと言ってるのに『西さん本当にいつもいい笑顔ですね』『今日も西さんの穏やかな笑顔に救われました』みたいなコメント頂いたりする。津野さんも人が好きだし、私も根底では人が好きよね。


津野:
死ぬときに「あんたと関わってよかった」って言われたいですよね。以前、西さんを取材した時に、心に刻まれてる言葉があって。ひとつは、スタイリストで売れる人、売れない人の分かれ道について。「華があるかどうか。あなたが楽屋に行くとパッて花が咲くようなスタイリストになれたら、人がついてくる」っておっしゃってました。

西:
素敵! いいこと言うじゃん私(笑)。

津野:
もう一つが「50歳を境に、業界のほとんどの人が仕事がなくなる。でも少数だけど残る人もいる。違いは何だと思う?」「それはね、愛情よ」と言われたんですよ。相手がどういう服を着たら一番輝くか。一番深いところで相手を思いやる愛情こそが分かれ目になる。だから、あなたは一本の仕事に対して情熱を出しきって愛情深くやっていきなさいと。

西:
ますますいいこと言う(笑)! というのは冗談だけど、「西さん、これは私着れない」と言われて、いやいや絶対素敵なのに、という時、どうしたら彼女が試す気持ちになってくれるか。その時私は脳味噌と勇気を振り絞ってる。この写真は一生残ると思ったら、イマイチな服を着せてカメラの前に出せないじゃない? ご本人が似合うことを知らない服を着てもらうには、最後はやっぱり愛です。

津野:
何度思い出しても、聞けて良かったなと思う西さんの格言なんです。

西:
今後、着る学校で教えることもお願いしようかしら?

津野:
ぜひ!西さん直伝の愛情いっぱいで取り組みます!!


【津野さん】
SLOANEの半袖ニットにKNOTTのカーディガン。テイパードされたパンツはISSEY MIYAKE。この日は雨の中リースにも行くので、足元はHOKAのゴアテックスで万全に。

Instagram:https://www.instagram.com/shingo_tsuno/

【西ゆり子校長】
コンパクトなタートルニット+板谷由夏さんがプロデュースするSHINMEのAラインスカート。


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