#M020 スニーカー時代の「男の靴」と「品格」


河毛俊作(以下 河毛):
既成事実として、今はスニーカーが世界で一番偉いものになりました。街でも、ランウェイでも。

西 ゆり子(以下 西):
まさに大手を振ってますよね。

河毛:
会社でも「自宅にスニーカー部屋がある」というスタッフがいるくらいだから。

西:
うちの息子もそう。壁一面スニーカーですよ。私は骨折がきっかけでスニーカーの良さに味をしめちゃって、怪我が治った今もほぼほぼスニーカーになりました。スニーカーは世界的なファッショントレンドであるわけだけど、日本人にとっては3.11の大震災がひとつのターニングポイントだった気がする。みんな黙々と暗がりの中を何時間もかけて家に向かって歩いていましたね。あの日を境に日本人のスニーカー率は格段に増えた。非常事態にスニーカーとリュックならサバイバルできるという思いよね。予測できない災害への危機感とか、これからの日本へ不安も隠れているのかなと思ったりするんです。

河毛:
もちろん自分も含め今でも革靴のオシャレを楽しんでいる人たちはいるわけですが。

西:
きちんと手入れされた革靴は、男の美学ですものね。

河毛:
靴が磨かれているかどうかで、ずいぶん人間の格が違って見える。だから今はみんなスニーカーを履くのかもしれない(笑)。拭けばある程度はきれいになるし。

西:
革スニーカーなら洗えるし拭けますから。むしろ布のほうが洗うと白が黄ばむから繊細かも。最近はハイブランドスニーカーのクリーニングを頼める専門店もあるみたい。河毛さんは靴のお手入れはどうしてますか?

河毛:
革靴は、決まった人に磨きに出すようにしてます。

西:
自分で磨くわけじゃないんだ!

河毛:
その人に一回しっかり磨いてもらうと、ふだんは濡れたウエスで拭くだけできれいになるんです。自分で一からやるのとは全然違います。

西:
昔は街なかに靴磨き屋さんがありましたね。あの人たち、どうしてるんだろう。

河毛:
都心には今でも何箇所かありますよ。お洒落な靴磨きなら、有楽町の交通会館前に有名な人がいます。昔は有楽町駅下の中華料理屋の隣だったけど、警察に言われて移動したようで。その頃から上手でしたけど、今は名物的な存在になりました。

西:
ああいうのが継承出来たらいいですよね。日本らしくて。

河毛:
僕がお願いしてるところで一足2000円くらいかな。

西:
その価格でワンシーズンに一回お願いすればきれいに保てるとしたら、高くない。

河毛:
革底の靴は、日本だと天候がネックだと言われますが、スエードは意外に雨に強いんじゃないかな。表革だと雨じみがかえって目立つ。もちろんスエードも雨の跡は残るけど、それはそれでいいと考えています。傷ついたら傷ついたでいいし。雑な人間なので。

西:
いや、それがカッコいいですよ。上質な革製品は、使って色合いが変化していくのも素敵。

河毛:
革靴にはその楽しみもありますね。こんな色になったのか、という驚きがあったり。

西:
ヌメ革は艶が出てこっくりしたあめ色に変わったりね。スエードは全体的に少しトーンが落ちていくの?

河毛:
うーん。まあ、汚くなるだけじゃないのかな(笑)。でも、若い頃からなぜかスエードの靴が好きなんです。理由は分からないけど。

西:
私、靴ほど男女で考え方が違うものもないなと思う。ローファーを飼いならして自分の足の形に手袋のようにぴったりにするのって男のロマンだけど、女の人はそれで夢を語れない。求められる清潔感の違いなのか、女性の靴にそういう年輪は要らない。そこは男性を真似したくても永遠に交わらないところかな。

河毛:
確かに。今、50足あまり靴があると思うけど、古いものは40年くらい経っている。つまり男は基本靴を捨てない。そこは女性と決定的に違いますね。

 河毛さんのウィングチップシューズはクロケット&ジョーンズ。色違いで3足買いそろえて、長年現役でいてくれている。ウィングチップは基本カジュアルなもの(男性の靴はデザインがシンプルであるほどフォーマル)なので、きちんとした感じを保ちつつ、デニムやカラーソックスとも相性バッチリ。

西:
サイズ感のこだわりなんかはありますか。

河毛:
サイズ感の好みは変わったと思います。昔はブカッとしてるのが気持ち悪くて、締め上げるくらいタイトなものが好きでしたけど、スニーカーを履くようになってからは少しゆったりしているほうが具合がいい。そうなってからパリの「ウエストン」で買い物しようとしたら、これがお前のサイズだと持ってこられた靴が、驚くほどタイトで驚愕した。

西:
私は、フィレンツェの「サルヴァトーレ フェラガモ」の本店に行ったら、店の人が『ここにあなたのフェラガモはない。ここでは買ってはいけない』というの。『なぜ?』『日本人だからワイズが違う。日本のフェラガモならあるからそこで買ってくれ』と。残念だったけど、あれは親切なんですよね。彼らは家の中でも靴だから、フィッティングも真剣よね。

河毛:
欧米人だって部屋の中ではクロックスとか履いていそうだけど(笑)。

西:
靴で男を下げないためのルールってありますか?

河毛:
男の人は、よほどの理由がない限りつま先がとんがった靴は履かないほうがいい。尖った靴が悪いわけではなくて、あれはきわどいキャラクターの人が履くと実にお洒落なものだけど、一般論としてはね。

西:
確かに!

河毛:
あと、中途半端な機能のものに手を出さない。最近、スニーカーのような革靴のような、まぎらわしい靴を履いてるおじさんがいるけど、ああいうものは買わないほうがいいと思う。

西:
心から賛成!でも、なんだかんだ河毛さんの靴選びって、「今日これかな」ってたまたま目に入ったのを履いてるんじゃない? しかもその勘がいつも正しいのね。私なんか、スニーカーは黒と白の二択しかないのに出先で「今日は白じゃなかったー」ってテンション下がることあります。だから、右と左で色を違えて鏡で「こっち!」って決めたり、大変なのよ~。

河毛:
出かけてから変だと思っても、ヘンはヘンなりだよ。そう思うと気が楽になるよ。

西:
他人の靴じゃなくて自分で気に入って買ってきた靴だしね!

河毛:
履いている靴が変、という理由で死んだ人はいないから大丈夫(笑)。

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ジャケット COMOLI

デニム COMOLI

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