#F018 ドキドキの〝ジャケット初めてのオーダー″


 12月のコラムで、メンズライクが今私の気分、というお話をしました。お洋服としてはシャツ、パンツ、そしてジャケットがポイントになってきますが、最近、お店で既製品を買う楽しみに加えて「オーダーで作る」という新しい選択肢が生まれました。私にとってドキドキする経験だったので、お話しさせてください。

 きっかけは時計を通じて知り合った30代の友人です。既存ブランドの服を買うより自分であれこれ考えて誂えるのが好き、というオタク気質。男性ながら、歌舞伎の女形のようにしなやかで中性的な雰囲気の持ち主です。私と似通った薄めの体型で、手首のサイズもほぼ一緒。彼が着ていたサファリジャケットが素敵だったので、試しにはおらせてもらったところ、なかなかよい感じ。「どこで作ったの?」と尋ねて、西麻布の「aldex」を紹介してもらいました。

 今回は、aldexオリジナルのデザインに一部変更を加えた仮縫いのないパターンオーダーでした。ジャケットは、ボトムや足元しだいでふさわしい着丈のバランスやシルエットも変わるので、コーディネートしたいパンツと靴を身に着けてお店に伺いました。一般的にテーラーでは女性物もメンズのジャケットを下敷きにするので、モードブランドの服とは違って、少し「男装風味」が強めになります。そこで、オリジナルの雰囲気を活かしつつ、より自分に似合うように、何点かカスタマイズをご相談しました。まず、タックを寄せたポケットは、サファリ色が少し強い感じがしたので普通のパッチポケットに。また、シルエットは少し絞ってさりげなくフレア感を出し、センターベンツ→深めのサイドベンツに変更。こうするとサイドからパンツのポケットにすっと手が入り、動作が静かで女性らしくなります。テーラーでは、ボタンや裏地、ディテールすべてに名前があり、「どうするか」を決める必要があります。袖口のボタンにしても、何個にする? ボタン同士を重ねる? 重ねない? などなど、パターンオーダーでも自由度が広いので、楽しい半面ルールを知らないと出来上がりが破綻してしまう怖さもあります。今までモードは色々見てきてそれなりに知っている自負があった分、オーダーの世界に入った途端、アワアワしてしまいました。でも、知らないことがいっぱいあるうれしさもすごくあり、ジャケットの「なぜ」にハマっています。それだけディテールに凝っても、価格的には海外ハイブランドのジャケットの半分程度というのも嬉しい驚きでした。言いたいことが言えて自分の「好き」を理解してくれる、良いアシストをしてくれるスタッフと出会えれば、楽しさはさらに広がりそうです。

 私はなで肩なので、過去購入したジャケットは肩パッドがしっかりしたものが中心でしたが、今回aldexでは「これまでのIkueさんのジャケット選びは体形にも合って正解だったと思います。でも今回は少し方向性を変えて、あまり厚めでない、やわらかなパッドで似合うシルエットを出しましょう」という提案をもらいました。結果、信じられないくらい軽い着心地で、腕の可動域も広がりました。これまでの肩回りがタイトなものに手が伸びなくなったほど快適です。デザイン的には懐かしさと今っぽさが同居した不思議な魅力のあるジャケットだと思います。既製服を例に出すのもおかしいかもですが、THE ROWの考え方とちょっと共通点がある。今回の体験で、自分の好きなものの答え合わせができたような感覚もありました。

 コンサバなジャケットもゼロではありません。黒のツイードのシャネルはフォーマルシーンで愛用しています。マイルールとしては、かっちりしすぎずモードに着ること。ボウタイでワイドパンツのシルクのオールインワンなどを合わせて、ジャケットは腕を通さず羽織るのがお気に入りです。

着る学校(校長・西ゆり子)

着る学校は、「スタイリング=着る力」を学ぶコミュニティ(登録無料)。『着るを楽しむ!着る力が身につく!』をコンセプトに、様々なレッスンを通じて、おしゃれの知識や情報を知ることができます。現在、5,600人以上の女性が登録。洋服を楽しむのに年齢は関係ありません。人生100年時代、私たちと一緒におしゃれをもっと!もっと!!楽しみましょう。

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