#S038 2024年、ジャケットをもっと活用しよう


 こんにちは、西ゆり子です。遅まきながら、あけましておめでとうございます。本年も『着る学校』を、どうぞよろしくお願いします。今年もおしゃれに関して様々な提案をしていきますので、私と一緒に「着ること」をさらに楽しんでいただければ嬉しいです。

 さて、お正月休みはみなさん楽しく過ごされたことと思います。「1年の計は元旦にあり」というように、今年の抱負や目標を決めた方も多いでしょう。新しい年がスタートする1月は、おしゃれに関してもあらためて見直したい節目の時期です。「今年はあんな装いをしてみたい」「こんなスタイルに挑戦してみたい」など、今年はどんな自分になりたいか――この時期に、自分が理想とするイメージをしっかり思い描いておきましょう。

 年の初めに、私から『着る学校』の生徒のみなさんに提案したいのは「普段着として、ジャケットをもっと活用してみませんか」ということです。年末の大掃除の時期にクローゼットの中の服を整理した方もいらっしゃると思いますが、どなたのクローゼットの中にも黒、ネイビー、茶色などのテイラードジャケットが1着は眠っているのではないでしょうか。このところ、カジュアルな着こなしが主流になっているので、「きちんと感」のあるジャケットは出番が少なくなりがちです。でも、大人世代の普段着として、ジャケットほどすぐれたアイテムもありません。なぜなら、ジャケットというアイテムは服として完璧な形をしているので、ジャケットを1枚羽織るだけで、太っている方は痩せて見え、痩せている方はふくよかに見えるという嬉しい効果があるのです。

 また、ジャケットを着ると背筋がピシッと伸びて、年齢を重ねるとともにぼやけてくる体のラインをスッキリと見せ、若々しい印象を演出してくれるという効果もあります。こんなお得なアイテムを活用しないのはもったいない! 新たな気持ちに満ちた新年だからこそ、ジャケットをワードローブのスタメンとして取り入れて、自分の心も日々の着こなしも、ぜひリフレッシュしてみましょう。

 では、どんな着こなしをすれば、「きちんと感」のあるジャケットを気軽なカジュアルウェアとして活用できるのか。そのコツは、まずインナーをラフにすることです。「きちんと感」をさらに増してしまう襟付きのシャツやブラウスは避け、タートルネックのセーターやクルーネックのニットを合わせれば「こなれ感」が生まれます。ネイビーのジャケットの中にボーダーのニットを着て、“冬のマリン”も楽しむのもいいですね。ボタンは留めずに前を開け、袖を少しまくって着れば、さらにカジュアルダウンできるというものです。もうひとつのコツは、ボトムスにラフなアイテムを合わせること。テイラードジャケットに細身のデニムを合わせたり、足元をスニーカーやショートブーツにすれば、カジュアルなシーンにもごく自然に馴染みます。

 じゃあ、新しく1枚買ってみようと思われる方は、テーラードタイプの紺ブレがおすすめです。紺ブレはジャケットの中でもラフな印象ですし、ゴールドやシルバーのボタンがついており、そこそこの派手さもあるので大人世代の女性にはうってつけ。反対に、危険なのはシャネルタイプのノーカラーのジャケットです。シャネルタイプのジャケットはボトムスと一緒にスーツとして着るのはいいけれど、40、50、60代以上の女性がジャケットだけをラフに着こなすのは、おしゃれ上級者以外は非常に難しいのです。それに比べて、紺ブレなら誰でも比較的スムーズに着こなせます。一口に紺と言っても、黒に近いミッドナイトブルーもあれば、アメリカのバイデン大統領が愛用しているような明るいネイビーもあるので、自分の顔に合った色を選ぶといいでしょう。

 もうひとつ、ジャケットを買う際の注意点としては、肩のサイズがピッタリ合うものを選ぶこと。ワンサイズ大きいと、自分の肩とジャケットの肩のラインがズレてしまうので、貸衣装を着ているように見えてしまいます。また、袖丈は自分の腕の長さにジャストフィットするように必ずお直ししてもらいましょう。「ちょっと長いけど、まくればいいわ」とおざなりにしてはいけません。そもそも、ジャケットの袖は「お直し前提」で長めに作ってあるものなので、自分の手首の位置に合うように袖丈をきちんと直してもらいましょう。

 かく言う私も、ここ数年、ジャケットの魅力を再確認したひとりです。70代になってから、ふと気を抜くと、自然と背中が曲がっていることが少なくありません。そんな自分に喝を入れるため、ジャケットを積極的にワードローブに取り入れることに決めました。毎日、ダボッとしたセーターにウエストゴムのイージーなパンツばかり履いていると、心も姿勢もどんどんだらけてしまいそうだから。目下、愛用しているのは黒のダブルと紺のシングルの2着です。インナーはたいがい薄手のニットです。ボトムスはパンツのときもあればスカートのときもありますが、ジャケットにスカートを合わせる場合はプリーツかタイトなデザインのものにして、全身のラインがスッキリ見える着こなしを心がけています。

 ジャケットを着ていると自分の背筋が伸びるだけでなく、レストランのスタッフやデパートの駐車場の係の方にも、自然と丁寧に扱っていただけるような気がします。大人の女性にふさわしい「きちんと感」があり、なおかつカジュアルなおしゃれも楽しめる。『着る学校』の生徒のみなさんには、ぜひ攻略してほしい万能なアイテムです。自分らしくラフに着こなすためには回数を重ねることも必要です。お友達とレストランに食事に行くとき、ちょっと遠出をするときなど、「今日のシチュエーションなら、ジャケットOK!」というときは、ぜひクローゼットの中から出してきて、おしゃれの幅をどんどん広げていきましょう。

着る学校(校長・西ゆり子)

着る学校は、「スタイリング=着る力」を学ぶコミュニティ(登録無料)。『着るを楽しむ!着る力が身につく!』をコンセプトに、様々なレッスンを通じて、おしゃれの知識や情報を知ることができます。現在、6,000人以上の女性が登録。洋服を楽しむのに年齢は関係ありません。人生100年時代、私たちと一緒におしゃれをもっと!もっと!!楽しみましょう。

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