#M013 猛暑の「ほんとうに涼しい素材談義」


西 ゆり子(以下、西):
今年は猛暑のレベルがまた一段上がりましたね。素材選びがますます大事になっているかも。


河毛俊作(以下、河毛):
夏は誰でも、さらさらとかシャリシャリの素材感が好ましいから、「綿と麻につきますね」で話が終わってしまいそうですけど、素材も多様化が進みましたよね。夏だからといって一概に麻一択とは言えない。それに麻は意外に暑いこともある。

西:
メンズの場合、そうかもしれません。きちんと仕立ててあるだけに。

河毛:
化学繊維をブレンドしたものも増えましたが、麻100%は、とにかくしわになる。時間が経つと小田原提灯みたいになるでしょう。

西:
まさに(笑)。20代の男の子なら、多少小田原提灯でもいいのよ。でも女性はちょっときついかな。上下麻素材を組みあわせると、なんだかみすぼらしく見えてしまう。パンツを麻にするなら、トップスは薄手のシルクにするとか、組み合わせは考えたほうがいい。実は今日の対談用に麻のベージュのパンツをいったん準備したんですが、何かテンションが上がらなくてクローゼットに戻したんです。

河毛:
なんだか二人とも麻に否定的ですね(笑)。


西:
でも、昭和のダンディたちの白麻スーツ姿の写真を見ると、なかなかいいなと思う。

河毛:
見た目に涼し気ではあるけど。

西:
着てるほうは暑いんですけどね(笑)。

河毛:
うちの祖父の時代の人たちは、特別な感じもなく夏は麻の背広を着ていましたから、自分たちも気負わず普通に着ればいいのかなと思うけど。普通に着ていないブランクの期間が長引くうちに、難しくしてしまった感がある。西さんがよくおっしゃる帽子もそうですね。帽子イコールおしゃれ、という定義ができ上ったから、かえって難しくなったのかもしれません。昔はお洒落ではない人もみんなかぶっていたし、どこの家の玄関にも帽子掛けがあった。

西:
日常のものとしてなじむのが大切なのかも。

河毛:
けど、帽子にしてもかぶったほうが暑いってことないですか。どうしても髪の生え際に汗をかきますから。

西:
風が吹いたら脱いで風を通したくなりますよね。河毛さんは、夏のシルクはいかが?


河毛:
最近は、昔好きだったサンローランのシルクジョーゼットシャツとかは暑くて出番がありません。でも、最近日本のブランドが、デザインはアメカジなんだけど素材はシルクのTシャツとか、裏側の肌にあたるところにシルクを使ったスウエットなんか作っていて、気になります。

西:
シルクは織り方でかなり感触が変わりますから。私がいちばん好きな夏のお出かけパンツはシルクオーガンジーで、たとえばお芝居を2時間見て座席から立ち上がった時なんかも、瞬時にぴしっとなって、身体にくっつかないから快適なんです。

河毛:
シルクもそうだし、ウールの立ち位置も昔とは変わってきた。最近はシャリ感のあるウール素材を使った夏用のウールのポロシャツもちらほら出て来ましたね。素材や織り方が進化しているんですね。

西:
お茶のお稽古で着物を着るたびに、日本の夏の暑さを思い知るんだけど、意外に快適なのが、ポーラというサマーウール。しわにもなりにくくて気に入っています。もともとイギリスの紳士服の登録商標だったらしいけど、強撚で薄地の平織りをみんなそう呼ぶようになったようです。むしろ浴衣地のほうが目が詰まっていて暑いんじゃないかしら。

河毛:
ヨーロッパ限定でしょうが、夏のスエードもしゃれていますね。映画「太陽がいっぱい」の中でお金持ちのぼんぼん役のモーリス・ロネが、真っ白のズボンに合わせて赤みがかった茶のスエードのシャツを素肌に着ているのが忘れられない。日本は気候が違い過ぎて、そのまま取り入れるのは無茶ですが、夏の薄いスエードはお洒落なんだと思います。

西:
でもメンズファッションは、究極のところ機能性ありきですよね。

河毛:
それはそうですね。最近はいわゆる機能性素材もロケ現場では手放せないです。特に最近ゲリラ豪雨があったりするので、撥水性の高いパンツとかじつに便利です。


西:
私も雨もようの日は撥水性の高いスカートを選びます。そうすると、大雨に遭っても心はそんなにクチャンとしないです。私はちょこちょこ「モンベル」とか登山用品店をのぞいたりするんですが、下着も速乾性のものがあったり、自分のニーズに合うものを見つけ出すのも楽しい。

河毛:
いまアウトドアの服はずいぶんおしゃれなものが増えた。見た目も天然繊維に近かったり。


西:
話は変わりますが、河毛さんが演出された「熱海殺人事件 バトルロワイヤル50’s」初日の河毛さんの着こなし、格好良かった。

河毛:
ありがとうございます。

西:
夏のウールのスーツで、あの生地はウーステッド?

河毛:
そうですね。

西:
上品なつやがあってしなやかな素材で、そこにきっちりタイを締めて下は半ズボンにローファー。涼しげでした。

河毛:
人が見て涼しそうというのも大事ですよね。
「涼しげですね」と言われると、いいことしたような気持ちになる。短パンに抵抗がある大人も多いけれど、短パンだからだらしがない、という考え方は間違ってると思うんです。本当はホーズ(ハイソックス)を履く方が更にいいんだけど、そこまでしなくても。ラクを追求するなら、スエットをちょんぎったような形でもよくて、ただしそれは犬の散歩まで。多少ドレス感がほしければ、まずパンツの丈が短すぎないこと。ワンタックでも2タックでもいいのでプリーツがはいったものを選ぶといい。あと、必ずベルトをすること。つっかけみたいなサンダルは避けて、ローファーやレザーのサンダルを合わせること。鎖骨を隠すこと。あまり肌を見せると勘違いしてる人に見えちゃう。

西:
つまり、普通のトラウザーズの裾をカットしただけで、他はいつもどおりにするのが、短パンでもだらしなくならない秘訣ですね! 帰ったら息子たちにあらためて言い聞かせよう!


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<河毛さん>

表情の異なる2枚のコットントップスを組み合わせて。つや感のあるジョン・スメドレーのポロシャツに、ややシャリ感があって軽いCOMOLIのミリタリーシャツジャケットを。パンツはノンネイティブ(nonnnative)。ローファーはオールデンのスエード。全体を品良く引き締めるのがレグロン(LAIGLON)のゴムメッシュベルト。無段階にサイズ調整できて快適なうえ、カラーバリエーションも豊富。

<西さん>

モスキーノのボタニカル柄のワンピースに、肌触りがやさしいワイズフォーリビングのコットンカーディガン。カーディガンは、コンサバなレギュラー丈をそのまま着ないであえてボタンを互い違いに掛けて短丈風&アシンメトリーに着こなし、今年の顔に変身! シューズはVEGE。服とのバランスで今日はタッセルをはずして履いてみた。

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着る学校(校長・西ゆり子)

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