#F011 Tシャツは偏愛にこたえてくれる


 ここ数年夏の酷暑もあって、ひと月の半分くらいはTシャツを愛用しています。タイプとしては、タイトめなクルーネックで、素材はテロテロせずコットンらしいハリがあるもの。というのも、Tシャツは一枚で完結する服ですから、自分の骨格との相性がとても大事。私は身体が薄くて、ともすれば貧相になりがちで、深すぎるVネックやUネックがおしゃれに決まりません。ゆえに好きなタイプは決まってくるのですが、その年ごとにサイズ感だけは少し流行を意識しています。たとえば去年は首が詰まっていても全体にダボっとしたシルエットでしたが今年はやや短めのクロップ丈が旬な感じがします。

 誰かと会う日のお出かけ用Tシャツは、自分の中で「一軍Tシャツ」と呼んでいます。お値段に関係なくやはりパリッとした感じがある新しいものがいいですね。それが清潔感にもつながりますから。Tシャツだけは、“よれたハイブランドよりプチプラの新品”です。首元がのびていたりすると、くたびれた人だと思われてしまって残念。ジェーン・バーキンみたいなカリスマは例外ですが、日本人女性はきちんと感があるほうがきれいに見えそうです。

 Tシャツは最近プチプラでも本当によくできていますよね。プチプラの気の利いたものを毎年入れ替えていくのも全然ありだと思います。が、私の場合、長い時間をかけて自分なりにこだわって集めた服の中から、その日の気分で「今日はこれ!」と選びたいほうです。だからどうしてもある程度数がほしい。服を捨てることはせず、文字通り「寝かせる」ので、ひきだしがパンパン(編集部注:IkueさんのTシャツは、一軍Tだけで6月現在約30枚)。たくさんあって何がいいかというと、1年に2回しか袖を通さなければ、10年経ってもダメージがないから、長い間きれいなままで生き残ってくれる、ヘロヘロのものを着なくて済みます。靴も同じですよね。何足か持っていれば、こまめにケアしながらローテーションできるから、いいコンディションで長持ちしてくれる。

 とはいえ一軍Tシャツも使い込めばいつかは首元がよれたり、毛玉ができたりします。そうなったら「二軍」、つまりおうちと近所用として愛用し続けます。10年近く前にメゾンキツネのTシャツにハマって毎年買い続けた時期がありました。それらは今パジャマとして大活躍してくれていて、ひそかな私の愉しみとなっています。着たおしたTシャツって肌に心地よいのです……。普段着ほど、気に入ったものを選んで大切にすることで、最後の最後まで楽しめます。あなたもTシャツの沼にはまってみませんか?

HYKEの紺×白ボーダーニットTに、ジャケットがジル・サンダー、ボッテガ・ヴェネタの黒パンツ。サンダルはザ・ロウ。


「HYKEらしい、ほどよいハリ感のある生地で、ぱっと着るだけでサマになってくれます。家でお洗濯したらリブ部分が少し縮んで、気持ちパフスリーブ気味になったのもお気に入り(笑)」

今回のコーデとヘアスタイルは、最近ショップで実際に出会った人からインスピレーションをもらって自分流にアレンジ。「素敵だな、と感じた誰かを先入観を捨てて真似てみることから自分のスタイルが広がることもあります」

着る学校(校長・西ゆり子)

着る学校は、「スタイリング=着る力」を学ぶコミュニティ(登録無料)。『着るを楽しむ!着る力が身につく!』をコンセプトに、様々なレッスンを通じて、おしゃれの知識や情報を知ることができます。現在、6,000人以上の女性が登録。洋服を楽しむのに年齢は関係ありません。人生100年時代、私たちと一緒におしゃれをもっと!もっと!!楽しみましょう。

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