誰もが「なりたい自分」「行きたい場面」を想像して ヘアメイクすれば、ファッションも輝きます!(Hair&Make-up And Fashion)

※※この対談は、7月28日に開催されたステップアップレッスンの内容を一部編集してお届けするものです。


西 ゆり子(以下、西):

今日お招きした山村光代さんは、ヘアメイクアーティスト。最初のご縁はNHKドラマ『セカンドバージン』のお仕事でした。


山村光代(以下、山村) 

もう15年近くたちますね。


西:

鈴木京香さんが演じる出版プロデューサーのヒロインが、20歳年下の既婚男性と恋に落ちる傑作ドラマですが、京香さんの仕事場面やデート場面での美しいヘアスタイルから起き抜けの素顔メークまで、すべてを手掛けたのが山村さんです。あらためて、山村さんはどんな風にヒロインのヘアメイク組み立てるんですか?


山村:

私たちが企画書や準備稿という台本を渡される段階で決まっているキャストは、主役、二番手、三番手くらいまででしょうか。さらっと通し読みした後、俳優さんの顔をはめこみながら脳内で映像を動かしてみるんです。その後、具体的に主演女優の髪は今これくらいの長さ、ドラマ用にカットするか今の長さのまま行くのか? ケンカのシーンではメイクで実際に傷を表現するのか、そして何日間傷を引っ張る? など具体的にプランを立てていきます。


西:

私もそう。まずキャラクターに感情移入しながらラストまで読んで、「彼女はここで走るのね!こんな服を着ているかも」と、ラフにイメージします。2回目以降は「この場面で傘が必要、次の場面ではハンカチを持たせたい」と考えていく。最終的に監督、女優と打ち合わせをしますが、「雨に打たれる場面は、服が濡れると透けるから、黒っぽい服で」というと「私、黒は似合わないんです…」という反応もあったりして。


山村:

そうですね。監督は「お風呂上りはすっぴんでお願いしたい。素顔に見えるように」。でも、素顔は嫌、という女優さんがほとんどですから、「マスカラとアイシャドウだけ少し落とさせてください」と薄くすると「うーんもう少しだけ足して」というようなせめぎ合いはあります。


西:

その女優さんらしく、役柄らしく見えて、なおかつトレンドも感じてもらえるのが理想ですよね。


山村:

しかも現場は時間の制約もありますからヘアチェンジ、メークチェンジはできるだけ短時間で効果的にしたい。幸いお洋服や靴の変化でかなり助けてもらえるから、髪をねじってアップにして、リップを少し足す程度でもガラッと変わる。「スタイリストさん、ありがとうございま~す!」といつも心で思ってます。


西:

今日のレッスンでも、生徒さんたちにお気に入りの服を発表してもらった後、山村さんからそれぞれに、今日のコーデに合ったメイクについてワンポイントアドバイスをいただきました。チークひと刷毛、髪にちょっとコテをあてるだけで、それぞれがなりたい雰囲気が出せて感激したし、少しの努力で自分でもできそうな工夫だったから、みんな本当に喜んでいました。ファッションだけじゃなくヘアメイクもドラマの中みたいに、ある時は華やかに、ある時はカッコよく、自由に自分を演出できたら、お仕事も旅行ももっと楽しくなりそうな気がしました。


山村:

絶対楽しくなりますよ。ヘアメイクは、それだけが独り歩きするのではなくて、必ず背景にその方が生きている場面があるから、ご自身の生活をいくつかのシーンに分けてみると考えやすいですよ。たとえば、


1.近所のスーパーやジム、犬の散歩など気取らない外出…

素顔寄りのナチュラルメイク

BB CCクリーム+お粉で汗をかいても見苦しくない肌。目元はごく薄いアイシャドウと眉のみ。唇は顔色が良く見える程度のリップ。


2.電車でお買い物や日常のお仕事…

ナチュラルメイク 

目尻のまつ毛の根元に埋め込む程度の薄いアイライン、茶色のマスカラを軽くつける。肌にもう少しきちんと感が欲しい時は、気になる箇所にコンシーラー+愛用の下地を混ぜて使うと自然な仕上がり。


3.友人とレストラン、観劇など…

大人のフェミニンメイク

マスカラをしっかりめに。リップをプラス(形をきっちりつけすぎない)

コテで毛先に遊びをつける


4.披露宴出席など…

フォーマルメイク

ファンデーションをブラシで肌に密着するようにつける。チークは黒目の下から斜め上ではなく真横気味につけて、老けて見える大人ならではの「顔の下半分が長い問題」を解決。マスカラ、アイラインを強めに、というように。



西:

ちなみに私は長年ノーメイク派だけど(笑)、ノーメイクでもやるべきことってあるのかしら?


山村:

UVケアですね。3年後、5年後の素肌に差が出ますから。今は美容液入りのBBクリームやCCクリーム、あるいは下地クリームの質が上がっていて、それをファンデーションがわりに薄くのばして仕上げに粉をはたけば、それだけでこめかみなどの影をトーンアップして若々しく見えます。よほどフォーマルな場面以外は、この肌にポイントメイクを足し引きすることで十分だと思います。


西:

ヘアアレンジでもずいぶん変わりますね。ヘアスプレーの使い方も、皆さん目から鱗だったみたい。


山村:

シューっと髪に直接かけるイメージの方が多いですが、失敗も多いのでは? それより粗いブラシやコーム、ときには指にスプレーしてから狙ったところにつけると、急にテクニックが上がったみたいにうまくいきます。


西:

やはりおしゃれは、頭の先からつま先までですね。今日はどうもありがとうございました。


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山村光代 / Mitsuyo YAMAMURA

山野美容専門学校卒業後、美容師免許を取得し、NHKメイクルームに入社。ヘアメイクでキャラクターを表現するプロフェッショナルとして、連続テレビ小説「天うらら」を皮切りに、大河ドラマ「武蔵」、「おんな城主 直虎」、ドラマ10「セカンドバージン」、連続テレビ小説「花子とアン」など様々な作品に参加。現在はフリーランスで活躍中。

着る学校(校長・西ゆり子)

着る学校は、「スタイリング=着る力」を学ぶコミュニティ(登録無料)。『着るを楽しむ!着る力が身につく!』をコンセプトに、様々なレッスンを通じて、おしゃれの知識や情報を知ることができます。現在、6,000人以上の女性が登録。洋服を楽しむのに年齢は関係ありません。人生100年時代、私たちと一緒におしゃれをもっと!もっと!!楽しみましょう。

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