#M016 さまになるフォーマルは自分がいつも通りのテンションでいられる服を


河毛俊作(以下、河毛):
男の場合、フォーマルのなかの分岐点は、「タキシードを着るか、着ないか」じゃないでしょうか。でも、着る機会そのものがずいぶん減った。コロナの2年あまりを経て、世の中の人が、べつにわざわざ着飾って集まらなくてもいいじゃないか、と気付いてしまった。僕は誰かの披露宴に行くのも、基本ダークスーツなんですが、見回すと突っ込みを入れたくなる服の着方が時々ある。たとえば昼間のタキシードはやめようよ、と思う。


西 ゆり子(以下、西):
それは駄目ですよね。タキシードは夜の服。ルールは押さえたいです。


河毛:
せっかくならモーニングをちゃんと着なさいよ、と言いたい。基本的には男のフォーマルは黒よりもむしろミッドナイトブルーのスーツがいいと思っているんです。ダークスーツは時間を選ばないし、ある意味万能なので、下手に黒を着るよりもミッドナイトブルーをおすすめします。あのほうがより黒く見えるから。ミッドナイトブルーのスーツに白いシャツ、濃紺のネクタイ。それで充分エレガントだと思う。

西:
前回、河毛さんが今スーツならあらためてアルマーニ、と言っていたでしょ。私、プラダのメンズスーツも好きです。いちばんオーソドックスな、なんでもない普通の服なんですけど、いいジャケットってふっと身体にフィットしますね。

河毛:
今は違うかもしれませんが、たしか初期のプラダのスーツは、アットリーニにだったか、ナポリ系のところに縫製を依頼していたんじゃないかな。イージーオーダー的なサービスもやっていますしね。

西:
でも、河毛さんみたいにスーツを着こなせたら本当にいいけど、複数の男性を同じ場所でスタイリングすると、ぴたっと着こなしが決まる人と、一抹の着せられた感が出る人がいて、着こなしってホントに不思議なものだと思うんです。結局は場数なのかもしれませんが。

河毛:
あ、まだあった。披露宴にシルバーのタイもやめたほうがいい。しるしのようにあれを締めてる人は多いけど、紺に紺、または紺に黒のタイのほうがおすすめです。

西:
たしかに海外の結婚式に行くとミッドナイトネイビーを着てる男性は多いですよね。

河毛:
タキシードも、ネイビーで襟だけ黒というのはちょっと素敵ですよ。下手するとバンドマンみたいになるけど。あとは、ちょっと改まった雰囲気のためにスリーピースにするかどうか。その場合ベストに襟はないほうがいい。

西:
少し前は襟付き多かったですね。

河毛:
日本人には中途半端なクラシックはあまり似合わない感じがします。

西:
靴は?

河毛:
黒のプレーントウですね。

西:
レースアップね?

河毛:
そうですね。ダークスーツにオペラシューズはおかしいしね。腕時計は本来はしないものだけど、僕はしてしまう。そもそも、もれなくクロムハーツのチェーンもついてるし(笑)。

西:
ダークスーツでもクロムハーツがついてるのね(笑)。男の人と小物の関係もそこまでいけばカッコいい。

河毛:
自分の場合、財布がたまたまそれしかないからであって(笑)。フォーマルには、基本その人らしさなんて必要ない、というのが本当のところだと思うし。最近、世間に自分らしさとか言われすぎ。「自分探し地獄」に囚われるのもナンセンスだと思うよ。

西:
名言ね! それでも内面は出ちゃうしね。
私、毎年年末にチャリティカジノパーティを開いていて、22年続けてるんです。初めての人とは名刺交換のかわりにルーレットとかゲームを一緒にやって仲良くなる。このパーティを始めた50代の頃から、何を着ようか毎回すごく考えたし、今回はコロナ明けで3年ぶりだから、初めて70代のソワレにチャレンジします。70代の自分が快適で皆さんの前に出て失礼じゃないものは何か、考え中です。でも結局、イブニングドレスはある意味きちっと身体のラインが出るものが正統派かな。下は分量があっても上半身はフィットして背中が開いているようなもの。そしてやっぱり足元は素足で華奢なサンダルを合わせたい。男性はタキシード中心ですが、いまだにゲストの中にはドレスアップは勘弁、と言う方もいるの。日本ではこういうの難しいとも思います。

河毛:
実をいうとタキシードを持っていないんです。「俺をブラックタイに誘わないで」ってことで。そういう集まりにはそもそも自分で運転して行かないだろうし、女性の場合、靴だって持ち歩いて履き替えないだろうし。突き詰めると自分のブラックタイはコスプレになりそうで。それを言うと根本的に何かが崩れるけど。

西:
たしかにそう言われると私の原点は崩れ去るけど(笑)、〝時間軸に合った格好をして楽しむ″こと自体はあっていいんじゃないかな。値段じゃなくて夜の〝時間″に合わせた服、それがスーパーで買ったロングスカートに柔らかいトップスだとしても、それはいいの。着て、パーティを楽しんで、その日が終わる。普通の人たちにもそういう日があっていいと思って。

河毛:
そこまで徹底したフォーマルだと違うのかもしれないけど、遊び心が中途半端なパーティってダサいよね。

西:
中途半端だと、来る人たちの腹も据わらないのかな。

河毛:
なんか照れくさい。他にも「スマートカジュアル」というドレスコードも好きじゃない。

西:
私も「ブラックタイって言ってもわかってもらえないから今回はスマートカジュアルでどうでしょう」って言われて猛烈に却下した経験ある。30分遅れてもいいからきちっとしてきて、って思っちゃう。ほら、アガサ・クリスティの映画って、事件解決で一堂に会する時、なぜか全員フォーマルっていう場面が多いじゃない。別にドレスアップしてなくていいんだけど、あの感覚が私は好きなんですね。

河毛:
結局、フォーマルが自然に見えるには、男の場合なるべく変わったことをしないのがいいと思う。

西:
そうか! 日常の服を着てる気持ちで。

河毛:
そうですね。自分が日常のように平常心でいられるものを選ぶのが一番ということ。

西:
女も同じかも。その目線、いただきました!


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コート The CLASSIC
ニット HERILL
パンツ カルーゾ
バッグ HERMES

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着る学校(校長・西ゆり子)

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