#F009 自分が主演の映画を撮るように風景を想像しながら服選び


 日々のファッションを決める時、私が必ずすることがあります。それは、どんな小さな用事でも、当日の流れをあらかじめ脳内シミュレーションすること。といっても大げさなことではなくて、家事の合間にできる簡単なことです。

 たとえば友達がランチに誘ってくれたなら、スマホでお店の雰囲気や座席の様子などをチェック。一緒に行くメンバー、お店のインテリアや雰囲気に合った服装を自分なりに想像します。食事なら上半身にポイントがある服にしよう、とか、ベンチシートならあまりボリューミーな服よりコンパクトなほうが隣の人に気遣いがないかも、とか。口コミサイトを見て何を食べようかな、と想像すると楽しいように、レストランの風景の中にいる自分の姿を想像するのも楽しいですよ。妄想ですから、私は自分が主演の映画を撮る監督とかスタイリストの気持ちで場面を思い浮かべてます(笑)

 外出には行き帰りもありますから、食後お茶をしに移動するのか、解散したらそのままタクシーで帰るかそれとも地下鉄でデパ地下に寄るのか……も考えます。するとバッグの大きさ選びも靴選びも、自然とふさわしいものが見えてきます。細かい話ですが、スーパーに寄るなら床すれすれ丈のパンツだと低い棚のものを取る時に裾を踏みそう? などなど。

 TPOはルールと同義語みたいに捉えられがちですが、これはNG、あれはふさわしくない、とネガティブな決め方だと、楽しくないし地味で無難になってしまいます。休日のホテルなどでは「TPOを守りました」とばかり、美容室に行きたてのふわふわしたアップスタイルで、示し合わせたようにワンピースにショールをかけて……というグループに遭遇することがありますが、ちょっと堅苦しいなと感じてしまいます。TPOの芯の部分は、相手も自分もその時間を快適に過ごせるように、ということなので、もう少し自由でもいいのではないでしょうか。

 正反対にお葬式については、楽しむ場ではないので、ファッショナブルを考えず、あえて型通りのマットでプレーンなものを選んでいます。女優さんなど、目立つことが必要な仕事ではないし、お洒落を見せに来ている印象になるのもマイナスイメージではないかと。これで大丈夫かな? と不安になるようなものはつけず、周囲にとけこむ様な装いがいいと思っています。

 さて、お洒落をがんばりたいイベントが1か月先にあるとします。私なら、遅くとも1週間前くらいからどれを着るか、もしフォーマルな場でドレスを着用する場合は上にはどのショールやカーディガンを着るのがいいのか、靴はドレスAならコレ、Bならコレ……と、夜な夜な一人ファッションショーを始めます。頭で思い描いて完璧だと思ったのに実際鏡の前に立ったらなんか違う、ということもあり、事前チェックが助けになってくれます。
そして当日、気候やコンディション、肌の調子をふまえて再度試着してセレクトすることが多いですね。イベントのために何かを急いで買い足すということは、極力避けるようにしています。

 とはいえ、久しぶりの同窓会なのに、今クローゼットにときめく服が一着もないとしたら、思い切って自信が持てそうな服を新調するのもありです。それが理由で気後れしてあまり話せなかったら後悔しますからね。
やはり、自分自身の気分が上がって、会場やお店の風景の一部になる感覚は、人生の楽しみ。それを助けてくれるのがファッションなんだと思います。


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❤️今日のコーデ

「全身ショット」の写真はすべてCELINE。胸元の写真はコートとシャツがJil Sander、ジャケットがThe Row。

ちなみに、お買い物には、もしもそのお店やブランドのアイテムを持っていれば、何かしら身に着けて行くのがIkueさん流。そこからお店の方とも会話が弾んで、意外なものを勧めてもらいファッションの幅が広がることも。生活を楽しむヒントはそんなところにも。

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着る学校(校長・西ゆり子)

着る学校は、「スタイリング=着る力」を学ぶコミュニティ(登録無料)。『着るを楽しむ!着る力が身につく!』をコンセプトに、様々なレッスンを通じて、おしゃれの知識や情報を知ることができます。現在、6,000人以上の女性が登録。洋服を楽しむのに年齢は関係ありません。人生100年時代、私たちと一緒におしゃれをもっと!もっと!!楽しみましょう。

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