#S019 シーン別のおしゃれをもっと楽しもう


 こんにちは、西ゆり子です。今年の冬は本当に寒い!「10年に1度の寒波」で心まで冷えきって、おしゃれをする気力が湧いてこないという方もいるのでは? でも、そんなときこそ服のパワーを借りましょう。大好きな服、ワクワクする服を着ていれば、寒風もなんのその。自分の心が躍る服を身に着けて、1年で最も寒いこの時期を元気に乗りきっていきましょう。

 さて、先月のスタイリング通信では「なりたい自分を服で演出する方法」についてお話ししました。自分の好きな服を身に着けておしゃれを楽しむことはもちろん大切なことですが、それ以上に、服には「その人の個性を際立たせる」ための大きな力があることをお伝えしました。

 そして、もうひとつ、服には「その場の景色を存分に楽しむ」という力があるのです。たとえば、美術館に行くときに、私はいつものスタイルよりちょっぴりシックで、少しだけ背筋が伸びた装いを意識します。クラシックのコンサートを聴きに行くときも同じです。なぜならば、そのほうが「美術館」や「コンサートホール」という「景色」にすんなりと溶け込めるから。もちろん、ジーンズにTシャツというラフなスタイルでも美術館には行けますよ。でも、それでは「美術館で大好きな画家の展覧会を見る」という非日常の景色を存分に楽しめない。誰かが見ているわけではないけれど、スニーカーを履いていくか、パンプスを履いていくかで、美術館という景色がガラッと変わってくるのです。

 ひと昔前は、「普段着」と「よそいき」という考え方がありましたけど、近頃は、どこにでも同じ服装で出かける人が増えています。特に、日本の場合は、「それぞれのシーンで、着る服を変える」という概念が浸透していないような気がします。欧米では、その線引きがはっきりしていて、昼間はTシャツにジーンズ姿の女性でも、ナイトクラブに出かけるときはきちんとドレスアップして行くのがあたりまえ。それは決して面倒なことではなく、むしろ、とっても楽しいことなんですね。たとえ、お気に入りの服を10枚持っていたとしても、その10枚が全部トレーナーだったら、担々麺と塩ラーメンと味噌ラーメンみたいなものでしょう(笑)。結局、ラーメンであることに変わりはない。1年365日、ラーメンだけを食べていれば満足という人はそれでもいいかもしれません。でも、たまには和食も食べたいし、イタリアンだって食べたいでしょう。だったら、トレーナー一辺倒ではなくて、そこにジャケットを1枚加えてみる。そうすると、また「違う自分」が表現できて楽しいし、おしゃれの幅もグッと広がるというわけです。

 ドラマ番組のスタイリングに例えると、「服で自分のキャラクターを作る」ことが衣装合わせだとしたら、「それぞれの景色に合わせた服を着る」ことは、シーン別に衣装を替えること。同じひとりの人間でも、その人の生活には様々なシーンがあるわけですから、それぞれのシーンにマッチした服を選んでこそ、ひとつひとつの景色を存分に楽しむことができるのです。どこにでも同じスタイルではもったいない。服の力で「自分らしさ」が確立できたなら、その次は「自分らしさ」のバリエーションを増やしていくことで、おしゃれの幅がもっと広がっていくのです。劇場に行くときはワンピースにパンプス、サッカーの試合を観戦に行くときはスタジャンにスニーカー。自分自身をショートドラマの主演女優だと思って、それぞれのシーンにふさわしい服を選ぶようにすれば、その場の景色が輝いて、あなたの人生という物語ももっと楽しくなるはずです。

着る学校(校長・西ゆり子)

着る学校は、「スタイリング=着る力」を学ぶコミュニティ(登録無料)。『着るを楽しむ!着る力が身につく!』をコンセプトに、様々なレッスンを通じて、おしゃれの知識や情報を知ることができます。現在、6,000人以上の女性が登録。洋服を楽しむのに年齢は関係ありません。人生100年時代、私たちと一緒におしゃれをもっと!もっと!!楽しみましょう。

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