#F008 「私らしさの」舞台裏


 好きなものを着ていると、自信をもって人と向き合えるような気がします。誰かと会う時には、つねに自分の好きな自分でありたい。大切な時ほど、お気に入りの服を着ていたいと思っています。

 私は洋服リースのお仕事中のデニムスタイルからお呼ばれのドレスアップまで、“TPOの振り幅”はかなり大きいほうだと思いますが、”キャラクターの幅”は増えすぎないように、わりあい絞り込んでいます。キャラに幅がありすぎると、揃えるべきファッションの幅も広すぎて、迷ってしまうような気がするから……。
たとえばお家のキッチンで、本格的なフレンチもインド料理も、とジャンルが増えるほど、揃える調理道具も食材もどんどん増えます。それをすべてきちんと管理して使いこなすのは大変だったりしますよね。たとえクリエイターの方が素敵に着こなしているのを見ても、尖った服はエネルギーがありすぎて疲れるから、自分のクローゼットには入れない、みたいなことはあってもいいと思います。

 私が素敵だなと思い、目指しているキャラクターイメージは、精神的に自立した女性像。具体的なアイコンがいるわけではありませんが、自分に自信をもって凛としていたいと思うので、ふんわり、ひらひらAラインというよりは、カチッとしたマニッシュな格好、長方形シルエットを選びがちです。そのほうが自分のキャラクターにも体形にもなじむ気がします。

 ただ、シンプルでマニッシュな服にノーアクセサリーだと、私の場合落ち着きすぎて遊びがない印象に見えがち。自分らしさをもう一段上げる工夫は必要です。ブローチづかいはその一つかも。この連載を見てくださっている方はご記憶かもですが、動物モチーフのブローチを組み合わせて着けることを楽しんでいます。マザーオブパールなどを使った動物たちは可愛らしくて、ジュエリーにありがちな緊張感を人に与えず、つけることで逆に女らしさやカジュアル感がプラスされる気がします。
服はシンプルに、そしてジュエリーで遊ぶ。それが今の「私らしさ」のひとつかもしれません。

 自分らしさを養うなかで、もうひとつ気を付けているのは有名ブランドを選ぶ時。一見してブランド名がわからないものを買うようにしています。好きなデザインでも、ブランドロゴやプレートが目立つがゆえに買うのを諦めることも。例外があるとしたらルイヴィトンやオールドグッチのモノグラムくらいでしょうか。あくまで主観ですが、ブランドロゴが目立つと、印象が「ブランド物を着ている人」になり、ご本人がかすんでしまう場合もあるからです。ただ、それもキャラクター次第というところがあって、強烈なロゴやキャラクター付きのファッションで楽しげに見えたり、ビジネスに役立ったりするなら、それはそれでいいわけで……、ゴーイング・マイウェイが正解なんだと思います。きっと「こうでなければ」にがんじ絡めになったら素敵になれない。服というのは不思議だし難しいものですね。好きであればあるほどそれを痛感します。

 西さんも今月のコラムでおっしゃっていましたが、私も楽しい自主トレとしてつねにファッションインスタやpinterestを見てスクリーンショットを撮って保存しています。たとえば私が今注目しているのは、デジタルクリエイターのNeelam Ahoojaや、実業家でファッショニスタのMiroslava Duma。こういう雰囲気になりたいと思わせる素敵な人です。注目するのは単品のアイテムではなく、雰囲気とか色合わせです。「黒とグレーとチャコールを絶妙に合わせてる」とか、「サンダルに網タイツでもマニッシュなワイドパンツからのぞかせると健康なセクシーさだな」とか。イメージを自分に落とし込むうえで、同じ服を揃えてもそうはなれないので、自分の体形に合うブランドやお店で近づけそうなものを探します。PinterestはAIが賢くて、好みのスタイルにpinをすると似たpinをサジェストしてくれるのでその意味でも便利です。スマホの中に作った「なりたいイメージ」のスクラップブックを持ってシーズンごとのお買い物をするようにしたら、足りないのはこのアイテムかも!など、いい気づきがあります。漠然とお店に出かけて販売員さんのお勧めに押されて買うのとでは、断然、違いが出てきます。『ファッションクエスト』を楽しむ第一歩として、イメージコレクション、始めてみませんか。


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❤️今日のコーデ

帽子 Hermès

ニット CLANE

コートとパンツ Jill Sander

ポシェット The Row

靴 TOD’S

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着る学校(校長・西ゆり子)

着る学校は、「スタイリング=着る力」を学ぶコミュニティ(登録無料)。『着るを楽しむ!着る力が身につく!』をコンセプトに、様々なレッスンを通じて、おしゃれの知識や情報を知ることができます。現在、6,000人以上の女性が登録。洋服を楽しむのに年齢は関係ありません。人生100年時代、私たちと一緒におしゃれをもっと!もっと!!楽しみましょう。

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