#S013 素材を知らずに、おしゃれは語れません


 こんにちは、西ゆり子です。朝晩、めっきり冷え込んで、薄手のコートが必要な日も増えました。「そろそろ冬物を出さなくちゃ」と、クローゼットの衣替えをしている方も多いでしょう。私も、柔らかなカシミヤや暖かなウールのトップスに袖を通すと、「ああ、今年も、冬が近づいてきた」と、肌で感じます。

 そう、その服がいったいどんな素材で作られているのか――、実はこれはとても大切な問題です。これまでお話をしてきた「色」「バランス」、そして「素材」の3つが、おしゃれをするときの重要な柱なんですね。「今日のコーディネート、なんだかヘン」と感じるときは、「色」「バランス」「素材」のどれかに必ず問題がある。この“おしゃれの3本柱”の中で、「素材」に関してはあまり意識していない方が多いようですが、そもそも「素材」を抜きにして、おしゃれは語れない。新しい服を買うときに、私はいつも真っ先に「素材」をチェックしています。

 「素材」には、ざっくり分けて、麻、綿、ウール、シルクなどの天然繊維と、ポリエステルやアクリルなどの化学繊維がありますが、この2つは大違い! 同じ色の服でも、光を受けたときの発色がまったく違います。天然繊維は光を吸い込むので、落ち着いたシックな色合いに。それに対して、化学繊維は光を跳ね返すので、キラキラと前に攻めて行く色合いになるのです。

 ですから、コーディネートするときに、天然繊維と化学繊維を組み合わせると、ちぐはぐな印象になってしまうのです。たとえば、ポリエステルの赤いブラウスに、ウールの赤いスカートを履くと、なんだかしっくりこない。でも、そのブラウスを赤いシルクのものに代えれば、すんなりマッチする。これは違う色の組み合わせの場合も同じです。トップスとボトムスの素材はできるだけ揃えたほうが、失敗がありません。ソックスを選ぶときも要注意! コットンやウールといった天然素材のパンツを履くときに、ポリエステルなどの化学繊維のソックスを合わせると、足元だけが浮いて見えてしまうので、気をつけましょう。異なる素材の組み合わせだと、どれくらい違和感のあるコーディネートに見えるのか――、ぜひご自宅の鏡の前で試してみてください(テーマレッスンでも実際に比較してみる予定です。興味のある方は、ぜひ参加してください!)

 もうひとつ忘れてはいけないのが、天然繊維と化学繊維の間に、“第3の素材”があるということです。それは、レーヨン、キュプラ、テンセルなどの再生繊維。もともとは、木材や樹皮といった自然の素材を原料としているのですが、加工する過程で化学薬品を使っているために、正式な分類では化学繊維の一種とされています。ちなみに、石油を原料としているナイロン、アクリル、ポリエステルなどは化学繊維の中でも合成繊維と呼ばれます。なんだか、理科の授業みたいな話になっちゃいましたが(笑)、再生繊維はもともと自然由来の素材ですから、私の中では天然繊維と化学繊維の中間の位置づけです。中間の「素材」なので、天然繊維とも化学繊維とも相性が良く、コーディネートするときにも便利です。

 ひとくちに「素材」と言っても、これだけ様々なものがあるわけです。それなのに、服を買うときに、「素材」のタグをチェックしていない人が多すぎる! どんなに素敵なデザインでも、どんなにきれいな色でも、「素材」によって服の印象はガラッと変わります。おしゃれ上級者を目指すなら、もっと「素材」を意識するように心がけましょう。

着る学校(校長・西ゆり子)

着る学校は、「スタイリング=着る力」を学ぶコミュニティ(登録無料)。『着るを楽しむ!着る力が身につく!』をコンセプトに、様々なレッスンを通じて、おしゃれの知識や情報を知ることができます。現在、6,000人以上の女性が登録。洋服を楽しむのに年齢は関係ありません。人生100年時代、私たちと一緒におしゃれをもっと!もっと!!楽しみましょう。

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