いい服は自分をワンランク上に引き上げてくれます。ハイブランドは価格もハイレベルですが、それは品質への信頼、デザイナーのクリエーションやブランドが積み重ねた歴史へのリスペクトの対価だと思っています。憧れをまとう高揚感でモチベーションを上げて日々を楽しく過ごすことが出来る、人生のご褒美といってもいいでしょう。
少女時代から『ファッション通信』（テレビ東京・当時）に夢中だったことは以前お話ししましたが、当時、ブランドというと、バッグやお財布は流行っていたけれどお洋服は限られた一部のファッショニスタや富裕層のもの。自分の足でブティックに行き、ショップスタッフと関係性を構築しなければ新作の情報も、なかなか手が届かないものでした。実際に私がメゾンブランドの服に袖を通したのはそれから随分と経って大人になってからのことでした。
初めて夢中になったのはアルベール・エルバス（AlberElbaz）の ランバンです。なんとも言えないフランスらしいニュアンスカラー、しっとりと艶やかなシルクの質感、布地をたっぷりと寄せて作られたドレスは、身体のディテールを拾わないゆるやかでエレガントなフォルム。ラックやトルソーに掛かっている時点ではよくわからないのですが、身体を入れた瞬間、そのデザインやカッティングの美しさに感動を覚え、何より自分をより輝かせてくれる実感がありました。「エルバスの魔法」と言われる理由がわかりました。歳をとってお婆ちゃんになっても彼のお洋服は永久保存するような気がします。
対照的に、メンズライクな着こなしを楽しむようになったきっかけは、フィービー・ファイロ（PhoebePhilo）期の セリーヌ。ファーストコレクションをひと目見た瞬間からビビっと衝撃が走り、すぐに表参道の路面店へ。ミニマルでマスキュリン、でもモダンでエレガント。（私のなりたい大人の女性像を具現化している！）と。大人のパリジェンヌのほど良い抜け感のある着こなしやレイヤードスタイルはセリーヌのランウェイのコレクションがお手本でした。
その後、フィービーの退任、エルバスの逝去で、私のブランド熱はいったんリセット……ブランド名は一緒でも、デザイナーが変わればまったく別物。「恋心」が消えた寂しさの反面、自分のワードローブを初めて冷静に見直すいい機会にもなりました。自分にとって「ブランド＝デザイナー」であることにも気づきました。今はジルサンダー、ザ・ロウ、ボッテガ・ヴェネタ、そして国内のブランドからテイストに合うものをピンポイントで選びつつ、フィービー・ファイロの新ブランド（2022始動と言われながら、延期されていますよね）を心待ちにしています。でも、その世界観に魅せられると、今あるワードローブそっちのけで夢中になる危険な予感もして（笑、悩ましいところです。
今はインスタやオンライン、Buymaや海外サイトで最新情報は勿論、お買い物も自宅にいながら楽しめます。ネットなら定価より安く購入出来て足も時間も使わず合理的。おかげでハードルが下がり気軽にブランドを買えるようになりました。そんな時代だからこそ路面店でのお買い物をあえて勧めたいです。憧れのブランドで緊張感を味わいドキドキしながらデザイナーの感性と拘りで作り上げられた空間でお買い物をすることは特別で贅沢な気持ちになれる体験です。それは子供の頃のブランドやデザイナーに対する憧れや想いがそうさせるのかもしれません。
今回ブランドへの憧れを熱く語ってきましたが、街を歩いていて目を奪われるのは決してハイブランドで身を固めてる方ではありません。
ブランドを身にまとっているということにこちらが気がつかないほど素敵に着こなして自分のものにしている方に出会うと、おぉ！素敵！とテンションが上がります。
自分の好きなもの、似合うもの、を熟知していて、自信たっぷり堂々とお洒落を思いっきり楽しんでいる。ハイブランドを着ていてもそのパワーに負ける事なく馴染ませらることが出来たなら理想的です。ブランドもそうでない物も自分のスタイルに落とし込んでお洒落を楽しむ、私もそんなマダムを目標に歳を重ねていきたいです。
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❤️今日のコーデ
ジャケット・パンツ： CELINE（フィービー・ファイロ デザイン）
バッグ： HERMES
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