カラー診断のプロとカラー診断アンチの二人が 色について語り合いました!前編(Colorist And Fashion)

【今月のゲスト】

田中菜々子さん(カラーリスト)


西 ゆり子(以下、西):
今日のゲストはカラーリストの田中菜々子さんです。色にまつわる教室を主宰するだけでなく、「よみうりカルチャー横浜」で、田中さんも私も講座を持っていて、私のクラスにもオブザーバーとして参加して下さっています。

田中 奈々子(以下、田中):
生活の中の「色のトリセツ」みたいなことをお伝えするのが私の仕事なんです。

西:
お茶のお稽古で出会って、田中さんが色の専門家なんだとわかったちょうどその頃、私、着る学校の生徒に、色のことをどうやって教えたらいいか悩んでたの。明度や彩度は図で示せるけど、それをファッションに置き換えた時、どれとどれを組み合わせていいか、もっとわかりやすく簡潔に伝えられないかな?と考えてた。

田中:
ゆり子先生はご自分の中に膨大な経験値とセオリーの蓄積があるわけですが、それを初心者にも分かるようにしたいと話されてましたね。

西:
今の流行のファッションは比較的ワントーンで合わせることが多くて、無難だけどつまらないともいえる。でも一方で黄色と黒の色合わせとなると、経験上、合わせられるのはわかっているけどそもそも彩度も明度も差が大きいし、黄色じたいの明度も色々でしょう。そこをわかりやすく伝えられないかしらと。

田中:
ゆり子先生、人間って何色くらい色を見分けてると思いますか?

西:
……100色くらいならなんとかなりそう。

田中:
実は、750万色と言われてます。

西:
すごい! 人間ってすごいんだ。

田中:
先生や、染色家のように色にフォーカスするお仕事の方なら1000万色くらい見分けているかもしれません。ですから、「はい、あなたに似合うのはこの色よ」みたいなジャッジというのは、はっきり言うとできないに等しい。だけど色の基本、色彩の考え方がある程度理解できると「どんな色」の「どんな」の部分がわかる。それがおしゃれするための基礎体力みたいな感じですかね。

西:
鉛筆くださいますか、今のメモメモ!(笑)

田中:
色の勉強を始めると、今まで眠っていた脳の色を認知する部分がパコンと開くんですよね。そうすると、明るい/暗い、鮮やか/穏やか、今よく言われるイエベ/ブルベとか、ある程度細かく意識的に見分けていけるようになる。

西:
実際、初心者の方にはどんな流れでアドバイスするの?

田中:
悪い色というものは存在しないということは、必ずお伝えしますね。もちろんカラー診断はいたしますが、あれは別にスプリングやオータムに自分を振り分けるためではなくて、それこそ750万もある豊かな色を「皆さんの持ち味とつなげるためのツール」なんです。春夏秋冬以外にももっと細かい分類法もありますけど、細かくなると人間それに囚われがちで「これしかダメ」となりやすい。そうなると、せっかく学んだことが生きないでしょう。

西:
そういう人多いと思う。

田中:
私はむしろ逆で、カラー診断で選択肢を広げてあげたいんです。たとえば、好きな色がもう一つ映えないと思っていらっしゃる場合は「いや、ダメじゃないですよ」と工夫の引き出しを開けていく。例えば顔周りに白など明るい色を持ってきたり、シルバーやゴールドジュエリーを加えるだけでも光のフィルターになるので顔が明るく生き生きする。理論ではなく体験を持ち帰ってもらうんですね。目で実際に見ていいかもって思える、その第一歩の手がかりをお渡しするのが、私の目指す診断です。

西:
着る学校でも色で一番多い質問は、色の組み合わせに関する答え合わせやルールのことなんです。これは答えのない質問だと思います。

田中:
同感です。色を本格的に学んだ時に「いい配色」というものはないとはっきり言われたのを今でも覚えています。ふんわりした「可愛い」を求めている人にモダンでアクティブな配色は的外れですよね。その方が思う「可愛い」に応えないと。求めているイメージに合った配色がいい配色と言えますね。

西:
洋服と一緒だね。

田中:
一緒です。色にはたった一つの答があるわけじゃないけど、それが逆にいいなと。

西:
自由人ね!

田中:
ゆり子先生ほどじゃないですよ(笑)。

<後編(11月更新)につづく>



ご参考:パーソナルカラーについて

服装における色彩戦略の始まりといわれるのが、1960年9月のケネディとニクソンの大統領候補の討論会。この頃米国でカラーテレビができたこともあり、ケネディは視聴者に紺のスーツ、赤や、赤×紺のネクタイ、ブルーのシャツで若々しい情熱を印象づけ勝利した。1974年には初めてのパーソナルカラー診断本「カラーミービューティフル」が全米のお洒落に敏感な人たちに反響を呼んで大ベストセラーに。その後日本でも政治家や女優を皮切りに、自分を輝かせるパーソナルカラーという考えが広まる。日本人に合った、一般の人々も使いやすい形にカスタマイズされ、自己演出・自己表現のツール、企業研修などで広く使われる。


<<Profile>>

田中菜々子 / Nanako TANAKA(カラーリスト)

カラー講師として、公共団体、企業、専門学校、カルチャースクール等のセミナーで活躍。また、お花やアクセサリー等、もの作りを通して、実際に色を意識して使う教室を主宰している。AFT色彩検定1級カラーコーディネーター、日本カラーコーディネーター協会認定講師、UC級カラーアドバイザー



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