ためらいを乗り越えたら、 着ることも自分ももっと好きになれました(Student And Fashion)


西 ゆり子(以下、西):

今月から、私が気になるゲストを迎えてお話を伺う「ゲストトーク」をお届けします。ファッションのプロフェッショナルから、メイクアップアーティストといったおしゃれ関連のゲストなどなど、多彩な分野のゲストをお迎えして、気になる話を伺います。初回は、なんといっても、レッスンを受けていただいている生徒さんのリアルな声が気になったので、今年の1〜3月と4〜6月と2期連続で基礎コースを受講された「ミトさん」に話を聞きます。

ミトさん、よろしくお願いします。


ミトさん(以下、ミト):

よろしくお願い致します!ゆりちゃん先生(※)を知ったきっかけは、NHKの『あさイチ』です。なんてステキな方だろうって。


※(事務局注)レッスンでは全員、ニックネームで受講するのがルールで、西校長は生徒さんからゆりちゃん先生と呼ばれています。


西:

わあ、ありがとう!


ミト:

そこからストーカーよろしく先生のことを検索して「着る学校」を知りました。本物のファッションのプロからお話が聞けるんだ! とときめいたけど、「きっとお仕事もバリバリ活躍している若い人向けの学校よね」と勝手に諦めてもいました。今の自分とは別世界じゃないかと。


西:

ミトさんはご家族のために色々頑張ってこられたのよね。


ミト:

子育てが一段落した50代なかばから両親を在宅介護で見送り、そののち主人がリタイアと同時くらいから介護を必要とするようになりました。介護が生活の中心になって約10年、現在に至ります。楽天的な性格なので周囲から「大変ね」と言われてもピンとこないのですが、介護関係者が日々家を出入りしていますし、自分のための時間はなく、もっと言えば、自分の好き、憧れ、みたいな部分には蓋をしてきたかもしれません。


西:

初めてミトさんとオンライン授業でお会いした時、(ああ、きちんとご家族の介護がんばっているんだろうな)という生真面目さを感じたのを覚えています。


ミト:

昨秋、50年ぶりの母校の同窓会があって、思い切って上京しました。13歳から18歳まで一緒に過ごした友だちは、驚くほど変わらない方やセカンドライフを楽しんでいる方、すでに他界している方もいて、本当に人それぞれ。「私も今やりたいことをやろう」という心境になって、その日に入学を決めました。ファッションはもともと好きだったので、ゆりちゃん先生から直接教えてもらいながら、好きな服を買ったり、おしゃれをしたりする自分の姿を思い浮かべて、泊まっているホテルの部屋でワクワクしたのを覚えています。


西:

素敵なきっかけでしたね! でも、ミトさんほど最初と今で変化した人はいないかも。最初、物静かな目立たない生徒さんで、質問ありますか?って振っても「私はこのままで結構です」オーラが出ていた(笑)。


ミト:

「基礎コース」には、同級生グループでLINEオープンチャットに、自撮りのコーデ写真を送るという課題があります。クラスメイトの工夫されたコーディネートが楽しい半面、その頃は自分の姿を見るのも抵抗があって、自撮りはハードルが高かったです。ふだん車椅子を押して病院の付き添いも多いので、買い物も試着もおっくうでネットで買えるものばかり、自分の「好き」をないがしろにした、邪念に満ちた服選びでしたので……。


西:

邪念(笑)!


ミト:

でも、エッジの効いたアイテムは好きだったので、最初の頃はそういうものを取り入れようと、何度か投稿しました。一緒に学んでいるクラスメイトの存在もあって少しづつ慣れてきたのですが、私、期の途中で体調を崩してチャットを追えなくなり、不完全燃焼ぎみだったので、先生や事務局の方とも相談して、次の期も基礎コースにエントリーしました。


西:

同級生LINEの雰囲気も期で変わるでしょう?


ミト:

あ、たしかに違いますね。1期目は仲良しでキャピキャピ感があり、情報交換のスピードと密度がすごかった。2期目は、投稿数は少なめでもきっちりと自分で掘り下げて試行錯誤されて、更によくなる答えを探す方が多い。どちらも私としては学びがあります。

帽子を上手に取り入れている同級生がいて、私も帽子を上手に被りたいと思い、ベレーに挑戦。苦戦しましたが、そんな時こそ一人で悩むよりトライ&エラーでチャットに送って、先生に意見をもらう方が早いしスッキリしますよね。


西:

ミトさんがいい意味で大変貌を遂げたきっかけは、マックスマーラのプリントブラウスね。


ミト:

同級生の着用写真を見てズキュン!ときたんです。私、このブラウス大好きって!!しかもそのブラウスは、ファッションサブスクの「Another ADdress」のアイテム。すぐにお借りできたのは大きかったです。路面店に足を踏み入れるのは、怖気づいてできなかったと思うので。


西:

同級生はどちらかというとスポーティに着こなしてた。そしたら後日、ミトさんが同じブラウスをまったく違うご自分らしい感じで着ているじゃない! わー素敵と思いました。


ミト:

実際に手にすることで、より可能性を感じるブラウスだったんです。パステルなのに一部はダークだったり、ある意味謎な色合わせで以前なら敬遠したけど、それが面白いと思える自分に変われたのも嬉しかった。あのブラウス一着で、基礎コースのいろんな課題を全部クリアできるくらいのパワーがありました。本当にいろんなしがらみから解き放された瞬間でした。そして、あの後、勧められてもずっと断り続けてきたパーマも思い切ってかけてみたんです!


西:

いいと思う。今の髪、素敵よね! 今日の鮮やかなブルーにも合う。


ミト:

グレイヘアにきれいな色が似合うというアドバイスを実践したら評判が良くて、調子に乗っております(笑)。今日のブルーのブラウスはユニクロですけど。


西:

この学校では、生徒さんが「私に何が似合うんですか」から「私これが好きなんです、こんな風に着てみました」に変わっていく姿を見るのが何より楽しいんです。俳優さんに着せるお仕事は現場限定ですが、「着る学校」では生徒さん自身が根本から変わるの。だからたとえばミトさんがマックスマーラを脱いでユニクロに行っても、以前と同じユニクロは絶対選んでいないはず。それに、ユニクロもマックスマーラと同じ精神状態で着られるの。これがすごいわけ。ファストファッションで無難に物を買ったら無難な人生になるけど、「これユニクロ、気に入ってるの。色がいいでしょ」と思って着るなら、それは全然別の話になる。


ミト:

私にとってオンライン授業は世の中とつながる「窓」みたいな存在です。特にファッションのように自己肯定感を高める講座がオンラインで受けられるなんて、いい時代になったと思います。色々前向きな気持ちになれたせいか、現状維持で放置していた本業も前向きにがんばってみようかと。


西:

すごい!


ミト:

先生方が活躍している姿を見て、素敵だな、私もがんばりたいな、という気持ちが生まれたのが自分でも驚きでした。


西:

それでおうちの中にも笑顔が増えているのだったら、本当に素敵。


ミト:

着ることは人生だという言葉は本当ですね。私はもうすぐ卒業ですが、卒業後のステップアップレッスンもあるそうなので、出られるときは出て刺激を頂き、ファッションの展覧会なども見に行きたいですね。


西:

ぜひぜひ!これからも一緒におしゃれを楽しみましょうね。今日はありがとうございました!


着る学校(校長・西ゆり子)

着る学校は、「スタイリング=着る力」を学ぶコミュニティ(登録無料)。『着るを楽しむ!着る力が身につく!』をコンセプトに、様々なレッスンを通じて、おしゃれの知識や情報を知ることができます。現在、6,000人以上の女性が登録。洋服を楽しむのに年齢は関係ありません。人生100年時代、私たちと一緒におしゃれをもっと!もっと!!楽しみましょう。

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